【SS】後輩「ああ、あのブラジャーしてない人ですよね」
男「よぉ、今日もおつかれさん」
後輩「先輩もお疲れ様です」
男「いやしかし、お前もこの仕事にだいぶ慣れてきたな」
後輩「まぁかれこれ2年も同じことしてますし、それに、正直仕事っていう感じはあまりしないですね」
男「やっぱそういうところお前ちょっと変わってるよなぁ。いや、変わってるところは他にもいっぱいあるんだけど」
後輩「そうですか?僕は至って普通だと思いますけど」
男「いやいやw あ、そういえばさ、広報の小林さんいるじゃん?あの人がさぁ」
後輩「ああ、あのブラジャーしてない人ですよね」
男「いやお前ほんとそういうとこだって」
後輩「えっ?」
男「前も言ったけどさ、小林さんは男だからブラジャーしてないのは普通なんよ」
後輩「でも世の中にはブラジャーしてる男の人も」
男「だとしてもだよ!基本男の人はブラジャーしてないじゃん?なのになんでお前は男の人のことをいっつも『ブラジャーしてない人』って言うわけ?」
後輩「僕も先輩もブラジャーしてない人です」
男「そんなこと聞いてねぇんだよ!」ガタッ
後輩「こわっ」
男「なんで呼称の基準がブラジャーしてるかしてないかなんだって聞いてるんだよ! あ、分かった。お前変態なんだな? 絶対そうだろ!」
後輩「なるほど、これが噂のパワハラってやつですか・・・」
男「ちげぇよ!!お前のブラジャー論に意見してんだよ!」
後輩「まさか自分がパワハラだけでなくモラハラをも被弾する日がやって来るなんて」
男「いやちょっとは人の話聞けって!」
???「あら、どうしたんですかそんなに声を荒げて」
男「あっ!佐藤さん!聞いてください、こいつおかしいんすよ!」
後輩「先輩からパワハラとモラハラとセクハラの3ハラを受けました。ちなみに僕の苗字は三原です」
佐藤「あらあらあら」
男「意味わかんねぇこと言ってんじゃねえよ!あ、ちょうどいいや、じゃあ佐藤さんのことはなんて呼んでんだよ。いつも通り言ってみろよ!」
後輩「・・・ブラジャー、してる人です」
男「ほらみろ!やっぱりお前が」
佐藤「最低ですね、男さん。見損ないました」
男「え?」
佐藤「先輩という立場を利用して堂々と後輩にセクハラさせるなんて、私は悲しいです」
男「いやいや、ちょっと待ってくださいって!」
佐藤「それに、後輩さんに私のことを『ブラジャーしてる人』とか言わせてますけど、それなら男さんは『パンツ履いてる人』になるんじゃないですか!?」
男「いやもう話の流れがさっぱり分からんって!しかもその理屈なら佐藤さんも『パンツ履いてる人』になるんじゃないですか?」
後輩「はっ!?なんで私がピンクのパンツ履いてるって知ってるんですか!? みなさん、ここに変態がいます!変態現地集合です!!」
男「あかん、この人ももうダメだ。誰か、誰か助けて」
???「やっほー!男くん元気ー?」
男「救世主登場!? 雨宮さん!助けてください!」
雨宮「質問に答えて」チャキッ
男「へ?」
雨宮「私は元気かどうか聞いているの。何度も言わせないで」チャキッ
男「あ、まぁ一応元気ですが今は・・・」
雨宮「部分的には元気ですって・・・?死にたいのかしら?」チャキッ
男「いやいや!そんなこと一言も言ってないし、というかその手に持ってるものはなんですか?」
雨宮「ブラホックですけど何か?」チャキッ
男「この人もダメだったー!!」
後輩「さっきから先輩がセクハラ乱、セクハ乱舞してるんです。雨宮さんもきっとすぐに『ブラジャーしてないパンツ履いてる人』とか言われますよ」
男「言わんわ!!もう何もかも完全に濡れ衣なんよ!!」
雨宮「パンツびしょ濡れ雨宮・・・?」
男「言ってねぇえええええ!!!!」
佐藤「男さん、本当に堕ちるところまで堕ちましたね」
男「崖から突き落とされたのちに事故処理扱いされた気分だよ!!」
雨宮「ひどいよぉ・・ふえぇっ」
佐藤「あーあ。雨宮さん泣いてますけど、どうするんですか? さすがに女性に向かって『ノーブラびしょ濡れパンツマンティス』は言い過ぎだと思います」
男「あっ、もうあの、はい。諦めました。人生何してもダメなときもあるんだなって」
雨宮「っぐ。ひぐっ・・・」
男「雨宮さん。なんかわかんないけどごめんなさい。全部俺が悪かったです。知らんけど」
雨宮「ひぐっ、ふぇっ」グズッ
後輩(先輩、先輩。下だけじゃなく上もびしょ濡れ雨宮とか言っちゃダメですよ)コソコソ
男「・・・もうこの会社終わっとるわ。 まぁとりあえずこれで涙を拭いてください。」スッ
雨宮「・・・なんでパンツ持ってるんですか?」
男「あ、そういやここ下着会社だったわ」
ー終ー
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