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それはそれはおもしろい時計なのです。

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私「あぁ、だからといってそんな風にする道理もないだろう」

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女「いえ、例えばですよ?あなたが今この場で意図して私の肩を掴んだとします。すると、この時計の秒針は1つ先に進みますよね?」

 

私「あぁ、まったくもって訳が分からない。けれど、興味はあるからそのまま続けてくれ」

 

女「ええ、やめろと言われてもやめてあげません。それで、例えばですが、あなたがそのまま私を突き飛ばしたとします」

 

私「一応女には手をあげない主義なのだが、まぁそこは目を瞑ろうか」

 

女「例えばの話しです。すると、時計の長針が1つ戻って3つ進みます」

 

私「はぁ、つまり私が君の肩を掴んで突き飛ばすと、時計の長針が2つ進むってことでいいのかい?」

 

女「少し違います。正確には1つ戻ったあとに3つ進むのです」

 

私「あの、そろそろ帰ってもいいですか?」

 

女「帰しません。それで、です。では、短針を動かすにはどうすればいいのかと、そろそろ気になり始めた頃ではないですか?」

 

私「いや、全然」

 

女「やはり気になりましたか。あなたならそうだと思っていました」

 

私「・・・」

 

女「時計の短針を進めるというのは、そもそも時計の短針というものは、とても大きな事象を表します。そして、何が移動しているかどうかは時計を壊してみないと分かりません。普通に考えれば移動するものは時間ですが、そもそもこの場合においては『普通』というものが存在しません。つまり、移動するものは何にでも成りうるというわけです」

 

私「・・・」

 

女「では、ここで趣向を変えましょう。私の右手があなたの左手に触れたとします。すると時計はどうなると思いますか?」

 

私「・・・短針が1つ戻って3つ進む」

 

女「あぁ、だめだ。あなたはまるで分っていない。あなたがあなたである所存が理解できた気がします」

 

私「そりゃあお褒めの言葉どうもありがとう」

 

女「決して褒めているわけではありませんが、まぁそこを含めてのあなたということですね。では、答えを教えて差し上げます。時計に変化は表れません」

 

私「ちょっとそれは卑怯なんじゃあないかい?」

 

女「いいえ、卑怯でも卑屈でも前屈でもありません。それが答えなのです」

 

私「ふむ、人というのはどうしてこうも不可解な事象に対して興味を持ってしまうのだろうか。もう文句は言わない。そのまま続けてくれ」

 

女「はい、本来ならばあなた自身で解を導き出してほしかったのですが、このままでは刻が暮れてしまいます。不本意ながら、私から短針を動かす方法を教えて差し上げましょう」

 

すっ

 

女「こうしてみると、短針は動きます。いえ、動かざるを得ないというべきでしょうか」

 

私「・・・なるほど、君が私の胸に顔をうずめると、時計の短針は動かざるを得ないと」

 

女「いえ、正確には違います。大切なことはいつも隠れて姿を現しません」

 

私「あぁ、だからといってそんな風にする道理もないだろう」

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女「いえいえ、こうあるべきなのです。むしろこうするほかあり得ません」

 

私「しかし、君がそれを私に突きつけたとして、短針の意味合いはどういったものになるんだい?」

 

女「それは、あなた自身が一番よく理解しているはずです。ちなみに、こうすると時計はどう動くと思われますか?」

 

すっ

 

私「!」

 

女「今あなたが感情したすべてをどうぞ」

 

私「これがあくまで、電力を人工的に補給する時計であるならば。その動力の源であるものが吹き飛んだのだと」

 

女「クスクス。あなたもやっとわかってきたようで」

 

私「ご期待に添えたようでなにより」

 

女「さて、これからあなたがすべきことは何でしょうか」

 

私「あぁ、もう間違えることはないさ。君をここから連れ出すとしよう」

 

 

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