俺「就活?そんなの余裕でしょ」
ー校内ー
講師「今回君たちが必死で探し求めている企業は、将来ずっとお世話になるところかもしれない。」
…であるからして気を引きして後悔のない選択を~
…就活とは婚活と同じようなもので~
ーキーンコーンカーンコーンー
俺「うぉっしゃあぁー!!!終わったあぁあああ!!」
ガタッ、ダッダッダッ
待ってろ!!
俺の!!!
大学食堂!!!!
俺「うぉぉぉおおおおおお!!!」
いくら「森のブロッコリー」と呼ばれる俺でも、教室から学食まで全力疾走はさすがに疲れたな。
ふぅ。昼時は場所取りが大事なんだよな。
よっこらせっ○す
そう言って俺は椅子に腰かける。
禁止ワードが出ても気にしない。
何故かって?
それは俺が田中実(たなかみのる)だからさ。
???「おーい」
田中「この声は…」
???「相変わらず早いな、田中。さすが学食のオフサイドと呼ばれるだけはある。その名に恥じない速さだな」
田中「お前もたいがいだよ、鈴原」
こいつは鈴原恵斗(すずはらけいと)
高校時代からの俺の親友だ。
イケメンかつ成績優秀、ユーモアと人当たりのよさもあってみんなの人気者。
俺も人気といえば人気者だが、こいつの人気とはおそらく理由は違うのだろう。
こいつはバカばかりやってる俺の良き理解者でもある。
鈴原「お前何ボーっとしてんの?やっぱりただの変態か」
田中「ふひひ、サーセンww」
鈴原「それよりさっさと飯食おうぜ」
田中「おk。俺はいつものやつにするけど、お前は?」
鈴原「またメディカルポテトか、好きだなお前も。俺は今日はカルボナーラにするよ。取ってくるわ」
田中「なーにがカルボナーラだ。カッコつけやがって」
それにしても俺ももう3回生か。大学生活もあっという間だったな。
あとはここを卒業してどこかの会社で働いて…
…働く?働くためにはまず就活か。
いや、それ以前にまず働きたくねぇww
大学3回生の2月。
すでに周りは就活に取り組み始めているが、俺はというと実はまだ何にもしてない。
そもそも就活ってなんなんだ?何したらいいのかさっぱりわからん。
まぁ最悪アルバイトでもなんでも食っていければそれで…
いや、こんな調子でいいもんなのか?
ふぅむ。まっ、なんとかなるっしょ。
そんなことを考えていると、辺りはいつの間にか学生で溢れかえっていた。
昼時はやはり例外なく混む。早めに来て良かったと改めて思った。
そして今、両手に昼飯を持った鈴原が帰ってきた。相変わらずなんでも様になるな、あいつは。
鈴原「ほらよっ、今日は気分がいいからおごりだ」
そう言って今日の昼飯ーメディカルポテトが俺の前に降臨した。
田中「なんか気持ち悪いな、何があったんだ?」
鈴原「今朝PONYから内定通知が届いたんだ」
田中「PONY!?PONYってあのPONY?」
鈴原「それ以外にどこのPONYがあるんだよ」
コロ「説明しよう!!」
PONYよはそのを知らない者はいない、というくらい有名なゲーム会社のことである。
大手中の大手企業だから倍率も高くて、滅多なことでは内定なんかもらえないんだ。
SO○Yをモジっただけじゃないかって?
ふふ。君は洞察力があるとみた。では後程!
田中「それにしてもすげぇな。もう将来安定じゃん」
鈴原「あぁ、何かやらかさない限り大丈夫そうだな」
田中「羨ましいな、おい。俺と変われ」
鈴原「だが断る。それよりお前の就活は今どんな感じなんだ?順調なのか?」
田中「え?俺?」
鈴原「どうせお前のことだから就活?なにそれおいしいの?状態なんだろうが」
田中「ギクッ」
鈴原「ギクッてお前。マジで緊張感持たないとヤバいぞ。
ほかのやつらなんてもう一次、二次選考会とか受けてるしお前は完全においてけぼりだな」
田中「おいおい、そんなもう手遅れみたいに言ううなよ。まだ今からでも全然間に合うんだろ?
てか就活ってまず何をすればいいか教えてくれ!」
鈴原「お前、緊張感持ったのはいいけど口からポテトがはみ出しているぞ。そういうとこ本当お前は…
いや、まぁいい。就活について説明してやろう。いいか、就活ってのはな…」
・・・
・・・
・・・
…なんつうかさっきの講師の人が言ってたこととほとんど同じこと言ってるな。
まぁ俺はあの話を聞き流してたわけだが。
つまり要約すると就活とは、自分が働きたい企業、会社(したい仕事)を見つけて研究する。
そしてその会社にエントリー(説明会に参加等)して、会社に求められた書類(履歴書等)を提出する。
そして筆記試験やら面接やらを受け、相手方のお望みにかなったら晴れて内定(実質採用)がもらえるというものだ。
頭が悪い俺なりにまとめてみたが、おそらく間違ってはいないだろう。
これで就活がどんなものなのかはだいたい分かった。
そして今俺がすべきことも分かった。分かったが…
田中「めんどくせぇー!!!!」
鈴原「ごちそうさま。んじゃまぁ、頑張れ」
田中「え?ちょ、鈴原さん?」
鈴原「分からないことがあったら電話でもLINEでもしてこい。
ただし、自分で調べればわかること、雑務を手伝ってほしい等はその限りじゃないからな
あと、俺が眠かったり怠かったりしたら無視するから。ガンバッテネ田中君」
そう言い終えると同時に鈴原は食べ終わった食器を持って席を立った。
田中「これは本格的にまずいな」
今日はもう午後以降の授業はないから、とりあえず帰ってまずは企業研究をしようか。
俺は残っているメディカルポテトを口にかっ込んで食堂を後にした。
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