【SS】女神「ただし、性行為を行うと死にます」5
女神「ただし、性行為を行うと死にます」1
前回:女神「ただし、性行為を行うと死にます」4
男「なん・・・だ?」
アイリ「うっ」
男「アイリさん!?血が!」
アイリ「魔法で、軽減したので大丈夫です・・それよりみなさんは!」
イトウ「私達なら無事だ! ったくどこのどいつだ!こんなことしやがったのは!!」
鎧騎士「陰でコソコソしてないでいい加減姿を現したらどうだ」
???「別にコソコソなんてしちゃいねーよ」スッ
男(いかつい黒装束、鋭い銀髪と血のように赤い瞳・・・なんだ、こいつは)
イトウ「お前、ちょっとイケてるからって調子乗ってんじゃねぇぞ!!」ブンッ
???「おっとぉ。これはこれは失礼。まともに会話もできない筋肉ゴリラさん」
イトウ(消えた!?)
鎧騎士「貴様、名を名乗れ」
???「はぁ、どうして騎士ってのはこう・・・まぁいいや。 セツナだよ、せーつーなー。」
鎧騎士「セツナ。なぜ俺たちを襲う」
セツナ「あぁ?お前らがエルフを皆殺しにするっつうから、今それを止めてるところだろうが」
アイリ「そんな!!皆殺しなんて!!私達はただ・・!」
セツナ「ふぅー!かわいい顔して意外と気は強いタイプ?俺はおしとやかな子がーって・・・あれ?お前・・」
アイリ「な、なんですか?」
セツナ「いや・・・」
イトウ「おい!お前はエルフの味方なのか?私たちは最近街でエルフが悪さをしていると聞いてこの森に・・」
セツナ「んなこた分かってるんだよ!だって、盗んで来いって指示出してるの俺だもん」
アイリ「!?」
男「な、なんでそんなこと!!」
セツナ「おうおう、ひょろ男がやっと喋ったと思ったら・・・ってなんだその加護? ダッセーwww童貞じゃねぇかww」
男&アイリ&イトウ「!!」
鎧騎士「・・・」
アイリ「男さん・・・」
イトウ「男・・・」
男「べ、別に今そんなこと関係ないし!!」
アイリ「あれ?ちょっと待ってください。なぜ男さんの加護を知ってるんですか?」
セツナ「ああ?見えてるんだから知ってるも何もないだろ? って、もしかして、お前らには見えてないの?ククク」
イトウ「いちいち勘に触る野郎だな」
セツナ「まぁなんたって俺はマナを司るエルフと仲良しさんだからな。そこらへんのパンピーとは違うのさ」
鎧騎士「イトウ、こいつ・・」
イトウ「ああ、分かってる。相当できるヤツみたいだな」
アイリ「エルフと仲良しって・・どういうことですか?」
セツナ「エルフたちは俺の力を求めている。俺はその見返りに食料やらなんやらを提供してもらっている。どうだ?ウィンウィンで仲良しな関係だろ?」
アイリ「そんな!エルフが悪事に手を貸したりなんかするわけ・・!」
鎧騎士「貴様、もしやエルフたちの弱みに付け込んで」
セツナ「おいおい、人聞きの悪いこといってんじゃねーよ。俺にしかできないって頼まれたことなんだから仕方ねぇだろ?」
アイリ「あなたにしかできないこと?」
セツナ「だぁー!もういちいち説明するのがめんどくせえ! 俺を倒せたら全部まるっと教えてやるよ」
イトウ「元よりそのつもりだ!」ダッ
セツナ「威勢がいいね~! まっ、せいぜい頑張るんだな」ヒュンッ
イトウ「ぐあぁっ!!」
セツナ「まずひっとり~」
男「イトウさん!!!」
イトウ「ぐっ、あの野郎・・・!!」
アイリ「じっとしていてください!傷が深すぎます・・これは、私の魔法でも癒しきれるかどうか・・・」
イトウ「このくらい大丈夫だ!と、言いたいところだが・・・体にこう二つも風穴を空けられちまうと・・ぐふっ!」
アイリ「イトウさん!!大丈夫ですか!?」
イトウ「・・・」
セツナ「おいおいおいー! もう終わりかぁ!?」
鎧騎士「男、状況は見ての通りだ。戦力は実質俺と貴様のみ」
男「分かっています。しかし、俺に戦闘は・・」
鎧騎士「ユウキからもらった魔法防具を身に着けているんだ、そう簡単には死なんだろう」
男「まぁ、もともと加護のおかげで死にはしないんですけどねw」
鎧騎士「その調子なら大丈夫そうだな。 よし、俺がヤツの意識を集中させる。その隙にお前はお前に出来ることをやれ」
男「はい!!」
鎧騎士「セツナ、次は俺が相手だ」ガチャッ
セツナ「ほぉー!今度は中身のない鎧野郎か。見掛け倒しじゃなきゃいいんだが、な!」ヒュン
鎧騎士「フンッ!」キンッ
セツナ「おいおいマジかよ。お前、その剣・・エルフの加護が入ってんじゃねーの?」
鎧騎士「よく分かったな。故に、お前ごときの攻撃ではどうすることもできまい!!」シュンッ
セツナ「うぉっとぉ!!あぶねーなーおい!!」
鎧騎士「・・・」
セツナ(鎧も剣も最上位魔法の加護付きか・・これは、長引くと圧倒的に俺が不利だろうな)
鎧騎士「逃がさん!!」ビュンッ
セツナ「っ!」ガキィン!
鎧騎士「・・・カタナ、か。」
セツナ「ああ。俺の自慢の愛刀さ!!」ヒュッ
鎧騎士「!!」
セツナ「はっはー!加護付き装備は自分だけだと思うなよ!!」
鎧騎士「くっ!」
セツナ「さて、お前らを全員殺した後は、またゆっくりと・・・」ボウッ
鎧騎士「貴様、詠唱なしで魔法を放てるのか」
セツナ「ああ、俺は天才だからね。んで、お前の鎧は確かに硬いが・・・それを作った時と同じ炎で焼いたら、どうなるんだろうなぁ?」
鎧騎士(まずい!!)
セツナ「じゃあね~、漆黒の鎧騎士さん。来世でま」
男「ぅわぁあああ!!!」ドサッ
セツナ「!?」
男「あ、意外と細身なタイプなんですね」
セツナ「お前・・・!!何人の上に乗ってやがんだ!!」
男「すみません。ちょっと失礼しま」
セツナ「焦げろ」
男「!?」
ゴォォオオオ!!
男「ぶぁっつ!!ぁ・・・」
鎧騎士「男!!!」
セツナ「あーあー、自慢のかぁっこいいお顔が消し飛んじゃったねぇ」
鎧騎士「貴様ぁあああ!!!」
セツナ「はぁ。騎士はいかなる時も冷静に、って教えてもらわなかったの・・・なっ!?なんだこのローブは!! 体が動かない!?」
鎧騎士「うぉおおおお!!!」
ザンッ!
セツナ「ぐぁあああっ!!!!!」
鎧騎士「まさか拘束具として魔装ローブを使用するとは・・・男、よくやったな」
男「・・・」(グッジョブ)
鎧騎士「とどめだ」スッ
セツナ「くっそがぁああああ!!!」
鎧騎士「はぁっ!!」
ーやめて!!!-
鎧騎士「!?」
セツナ「ん・・だよ・・・」
エルフ「セツナ、もういいよ。僕たち、もう分かってるから」
セツナ「るせぇ・・黙って・・」
???「セツナ。その子の言う通りです。もう、私は・・・」
セツナ「俺・・よりちょっと背が高い・・らって、調子にのってんじゃ・・・」ガクッ
鎧騎士「・・・」
アイリ「あれは!?エルフの女王!?」
イトウ「・・・ぅ」
女王「私の家族たち!怪我をしている方たちを皆ここへ」
エルフ「はい!」
アイリ「あっ!あの!」
エルフ「この人、借りてくね」フワフワ
アイリ「ありがとう、ございます・・」
エルフ「あとはーこの人・・ってうわっ、顔がない!」
男「・・・」ジタバタ
エルフ「女王様が治してくれるんだからじっとしててよー」ふわふわ
エルフ「女王様、怪我人を連れてまいりました」
女王「ありがとう。では、そこに寝かせてあげてください」
エルフ「はい!」
女王「・・・」スーッ
アイリ(すごい!治癒魔法なんて比じゃない回復速度!!)
イトウ「いっでぇ!!」
エルフ「じっとしててよー」
男「・・がふが」
エルフ「まだ喋んないでねー」
セツナ「・・・」
エルフ(女王様、セツナだけあえて気絶させてる)
鎧騎士「エルフの女王。訳を聞かせてもらおうか」
女王「・・・はい」
エルフ「あー!女王様に対して失礼だぞ!」
女王「いいのですよ。さて、まずはこの子、セツナについてお話しましょうか」
鎧騎士「・・・」
女王「セツナは、もともとはこの森のエルフの一人でした。性格はもう少し優しかったはずなのですが、外へ出てから変わってしまって」
鎧騎士「なぜ、ヤツは森の外へ?」
女王「私の、病を治すためです」
鎧騎士「どこか悪かったのか?」
女王「ええ。生まれつき体の弱かった私は何をするにも誰かの、彼の力が必要でした。どこにいても何をしていても、彼が隣にいなかった記憶はありません」
鎧騎士「・・・」
女王「当時の私達は、この子たちと同じ小さなエルフでした。もちろん私は女王でもありませんでした」
アイリ(あれ・・?なんかこの人・・)
女王「セツナは森の外に出て、私の病気についていろいろと調べてくれました。そして、治療薬を作成するには、並大抵の力では揃えることのできない材料が数多く必要だということが分かりました。普通のエルフでは到底集めることはかないません」
鎧騎士「なるほど。それで人の道ならずエルフの道を外れたというわけか」
女王「私を想ってくれてのことでした。想像を絶する苦痛の末にあの姿、あの力を得たはずなのですが・・・セツナはそのことについて何も話してはくれません」
鎧騎士「・・・」
女王「そしてあの子はなんとか治療薬を完成させ、森へと帰ってきてくれました。初めてあの姿のセツナを見た時は戸惑いましたが、言動が少し乱暴になっただけで、中身は森を出る前のあの子のままでホッとしました」
鎧騎士「よほど女王のことを大切に想っていたのだな」
女王「はい、身に沁みて感じました。それで、彼が持ってきてくれた治療薬によって私の病気は瞬く間に完治し、それと同時に、私はエルフの女王となったのです」
鎧騎士「しかし、女王というのはそう簡単に・・」
女王「その瞬間から女王になったわけではありません。あくまでその資格を得たというべきでしょうか。薬の力によって、それほどまでに私の力は強くなったのです」
鎧騎士「なるほど・・・だが、先ほどの言い分からすると、女王はもう長くないようにも聞こえたが・・」
エルフ「こらー!!女王様に向かってなんてこと言うんだ!!」
女王「・・・それは」
アイリ「あの、もし間違っていたらごめんなさい・・・もしかして、あなたはユキノ?」
女王「!!」
アイリ「やっぱり!!すごいよユキノ!!女王様になってたなんて!!」
女王「アイリ・・・大きくなりましたね」
アイリ「ユキノこそ!!前に会ったときはこーんな小さかったのに!」
鎧騎士「・・・どういうことだ?」
女王「アイリは・・・この森で私が育てました」
鎧騎士「!?」
アイリ「そうなんです。だからユキノは、私のお母さんというか、お姉ちゃんというか・・・とにかく、すごく大切な存在なんです」
女王「あの頃がとても懐かしいですね。ユウキにはよくしてもらっていますか?」
アイリ「うん!外の人たちは意外とみんないい人だし、問題なく過ごせてるよ!」
女王「それは、本当によかった」
セツナ「よくねぇえよ!!!」
鎧騎士「!」バッ
セツナ「お前が・・・お前のせいでユキノは!!!」
アイリ「!?」
ガキィン!!
鎧騎士「・・・冷静になれ」
セツナ「あぁん!?こいつのせいで、ユキノがこんな風になっちまったんだろうがぁああ!!!」
アイリ「・・・え?」
女王「セツナ!!」
セツナ「教えてやるよ!女王になるほどの力を得たユキノが、なぜ今こうして死に瀕しているかを!!」
女王「・・・」
セツナ「俺は、ユキノに薬を渡したあと再び旅に出た。こんなナリじゃここにいても浮いちまうだけだからな。それで・・」
女王「セツナが森を出ている間に、私は森の中で置き去りにされたとある人間の子を見つけました」
アイリ「・・・それって!」
女王「ええ。すごくかわいらしい、綺麗な赤毛の女の子でした。でも、このまま放っておくとじゃ死んでしまいます。そこでどうするべきかエルフたちみんなで話し合いました。その結果、私がその子を育てることに決まったのです」
アイリ「・・・」
女王「その当時、私はまだ女王ではありませんでしたが、他のエルフよりも力が強いことは明らかでした。なので、その子の、アイリの主な面倒見は私の役割となりました」
アイリ「じゃあ、やっぱり私のために、その、村の食糧とか盗って・・」
女王「はい。エルフが人を育てる以上、そうするほかはなかったのです。外の人間に預けようにも、争いごとでそれどころではなかったと思いますし」
アイリ「ユキノ・・・」
セツナ「そこで、そこでこいつが!!」
女王「いえ、アイリに呪物を与えてしまったのは私です」
アイリ「!?」
セツナ「おい!!お前は悪く・・」
女王「私が盗ってきた食料に、呪いが刻まれていたのです。私が何度も何度も食料を盗むうちに村人たちは怒ってしまい、エルフをも殺してしまう強力な呪いの印を食料に刻んだのです。彼らも食べて行くのがやっとの時期でしたから、必死だったのでしょう」
アイリ「・・・」
女王「そして、アイリがそれを口にするまで・・私は呪術に気付きませんでした」
アイリ「じゃあ、私が今生きているのは・・・」
セツナ「ユキノがお前の呪いを肩代わりしてやったからだよ!!そのせいで・・・ユキノは今も!!」
女王「セツナ、いいのです」
セツナ「よくねえよ!!アイリ!!お前のせいで・・・お前のせいでユキノは死ぬんだよ!!」
アイリ「!!」
女王「・・・」
アイリ「ごめん・・ごめん、なさい。ユキノ。私・・・そんなこと、知らなくて・・うっ」
女王「アイリ・・・」
セツナ「なんでお前を育ててやったユキノが死ななくちゃなんねぇんだよ!! ・・・あぁそうだ。なぁ、お前が死ねよ・・・死んで償えよ!!!」
男「さっきから聞いていたけど、それはちょっとひどいんじゃないの?」
セツナ「お前!また顔面を焼かれたいのか!?」
男「それは嫌だけど、だからといってアイリさんが死んだところで何も解決されないでしょう」
アイリ「・・ふぐっううっ うっ」
セツナ「話聞いてたんなら分かるだろ!!そいつは」
アイリ「・・わかって、ます。私が・・・死にます」
男「なっ!?」
女王「アイリ!!なんてことを!!」
アイリ「本当は、私が死ぬ運命だったんだよね。なのに、それをユキノが代わってくれてた。でもね、私だってユキノの子なんだだから、同じことができるんだよ」ニコッ
女王「アイリ・・・お願い。やめて」
アイリ「ううん、やめないよ。 ユキノ、今までありがとう。そして・・・ごめんね」スッ
男「待って!アイリさん!!俺が代わりに呪いを!!!」
アイリ「ありがとうございます。でも、この呪いは、呪いをかけた本人が解除するか被術者が死ぬまで浄化できないようです」
男「しかし!!」
アイリ「男さん。痛くて苦しくて、いっそ死んだ方がマシ。でも死ぬことはできない。そんな苦痛をこれから先、永遠に味わいたくはないでしょう?」
セツナ「・・・お前が、今ユキノにやってることじゃねぇか」
アイリ「だから私が、ね」
女王「ダメ、やめて。アイリ!!」
アイリ「もう、止められないよ」
女王「お願い!!セツナ!!アイリを止めて!!!」
セツナ「お前、これがどういう状況か分かって言ってんのか?」
女王「ごめんなさい、セツナ・・・でも!」
セツナ「ちっ! おい!どけっ!」ガンッ
アイリ「あっ」
パリーン!!
セツナ「おい、アイリ。さっきの発言は撤回だ。絶対に生きて、生きて、死ぬまで生きて」
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セツナ「俺の命の尊さを知れ」
続く。
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