【SS】けつの穴のムジナ

昔々あるところに「けつ穴」と呼ばれるほら穴がありました。
そこにはムジナが1人でひっそりと暮らしていました。
ムジナというとどんな生き物なのか想像がつきにくいですが、所謂アナグマのことです。
そういうわけでムジナは周りからアナグラム、アナルグマ等、それはもう言われたい放題やられたい放題の状態でした。
ブスッ
唐突にムジナのおしりに何かが刺さりました。
ムジナ「お尻痛いンゴ」
ムジナはあまりの痛さに悲鳴をあげました。
???「ああ、すまない。穴違いだったか」
ムジナ「君は・・・?」
ケツツキ「私はキツツキのケツツキ。穴をつついて回っている」
ムジナ「そうなんだ。よかったらボクと一緒に旅に出ない?」
ケツツキ「ふむ。穴違いとはいえこれも何かの縁、よろしく頼む」
ムジナ「どの穴と間違えたのかは分からないけど、よろしくね」
いつも1人だったムジナに、初めての仲間が出来ました。
ムジナ「ボク、友達がいないからケツツキさんと出会えてよかったよ」
ケツツキ「穴があればそれでいい」
2人はあてのない旅に出ました。
さわっ
唐突にムジナのおしりに何かが触れました。
ムジナ「おしり触られたんゴ」
ムジナは驚きのあまり奇声を発しました。
???「ちっ!ただのケツか」
ムジナ「君は・・・?」
ケツネ「オレはキツネのケツネだ。ぷりけつを探している」
ムジナ「そうなんだ。よかったらボクたちと一緒に旅をしない?」
ケツネ「イッツプリティ。悪くねぇ議決だ。よろしくな」
ムジナ「決議案がどこにあるのかは分からないけど、よろしくね」
ひとりぼっちだったムジナにも、2人目の仲間が出来ました。
ムジナ「ボク、ただのケツだけどケツネさんと会えてよかったよ」
ケツネ「お前のケツはいつか化ける」
ムジナたちのあてのない旅は続きます。
ほじっ
唐突にムジナのお尻に何かがねじ込みました。
ムジナ「お尻掘られたンゴ」
ムジナは衝撃のあまり歓声をあげました。
???「ほじってなんぼの世界線」
ムジナ「君は・・・?」
アナルほじり虫「おいらはアナルほじり虫。穴という穴をほじりたいでやんす」
ムジナ「そうなんだ。よかったらボクたちと一緒に旅をしない?」
アナルほじり虫「もうなんでもいいからほじりたいでやんす。よろしくでやんす」
ムジナ「ほじることに生きがいを感じてるのか、ほじってないと生きていけないのかは分からないけど、よろしくね」
また1人ムジナの仲間が増え、一行はよりいっそう賑やかになりました。
ムジナ「ボク、お尻ほじられちゃったけどアナルほじり虫さんと出会えてよかったよ」
アナルほじり「なにかとほじり散らかしたい」
ムジナと3人の旅は続きます。
ぺろん
唐突にムジナのお尻に生暖かい何かが触れました。
ムジナ「お尻舐められたンゴ」
ムジナはあまりの事態に吐息を漏らしました。
???「ぺろっ。これは青酸尻!」
ムジナ「君は・・・?」
アナクイ「あたしはアリクイのアナクイ。よく穴の周りを舐めているの」
ムジナ「そうなんだ。よかったらボクたちと一緒に旅をしない?」
アナクイ「あなたといるといい穴が舐められそうだわ。よろしくね」
ムジナ「何をもってしていい穴なのかは分からないけど、よろしくね」
ムジナはすっかり仲間たちと打ち解けました。あの寂しかった日々が幻にすら思えます。
ムジナ「ボク、舐め回されすぎてお尻がふやけちゃったけど、アナクイさんと会えてよかったよ」
アナクイ「ぺろぺろぺろ・・・ズボッ! 」
そろそろ旅の終わりが近づいてきたようです。
カタカタカタカタッ
唐突にムジナのお尻に硬い震動が響きました。
ムジナ「お尻はじかれたンゴ」
ムジナは燃えつきるほどビートに嗚咽をもらしました。
???「ほぉ、これはこれは・・・なかなかどうしてなるほど」
ムジナ「君は・・・?」
アナリスト「私はケツドラム協会のアナリストと申します。先ほどあなたのお尻を分析させていただきました」
ムジナ「そうなんだ。よかったらボクたちと一緒に旅をしない?」
アナリスト「それは願ったり叶ったりだ。あなたのお尻からは未知の力を感じる。是非よろしくお願い致します」
ムジナ「ボクのお尻になんでUSBケーブルが刺さってるのかは分からないけど、よろしくね」
ケツツキ、ケツネ、アナルほじり虫、アナクイ、アナリスト。
ムジナは5人の仲間と共に、最果ての地へと向かいます。
ムジナ「ボク、右クリックされる度にお尻に電流が走るけど、アナリストさんと会えてよかったよ」
アナリスト「グラフィックボードの不具合か・・・いや、それとも」
ムジナたちはとうとう旅の果てまでやってきました。
ムジナ「もう、これ以上は進めないね。みんな、今までありがとう。もう思い残すことは・・・」
ピッカーン!
突然ムジナの体が発光しました。
ムジナ「か、体が熱いよ。というか、9割お尻が熱い」
ケツネ「なんだと!?俺に任せろ!」さわっ
ムジナ「あっ」
ケツネがムジナのお尻にソフトタッチした途端、ムジナのお尻は水蒸気に包まれました。
ケツネ「お前、これはまさか・・・! ぷりけつ!?」
なんと、ムジナのお尻はぷりけつに進化していたのです。
アナリスト「ぷりけつだって!?ダメだ!このままでは熱が体外に放出されず、ムジナ君の尻が爆発してしまう!」
ケツネ「じゃあどうすればいいんだよ!」
アナリスト「穴が・・・熱を放出する穴が足りない!」
ケツツキ「私に任せろ」ブスッ
ムジナ「えっ」
ケツツキ「これで穴は増えた。問題はないだろう」
ムジナのお尻の右上に小さな穴があきました。
アナリスト「すばらしい判断だ!しかし、まだ油断はできない!これだと穴が小さすぎて熱の放出が間に合わない!」
ケツツキ「なんだと?しかし、私のくちばしはそう何度も刺せるようにはできていな・・・」
アナルほじり虫「おいらに任せるでやんす!」ほじっ
ムジナ「うっ」
アナリスト「なんと!穴をほじって最大限に放出口を拡大しようとしているのか!」
ガキンッ
アナルほじり虫「ダメでやんす!穴が硬すぎてさすがのおいらでもこれ以上はほじり進めないでやんす!」
アナリスト「くっ!万事休すか・・・」
アナクイ「私に任へて!」レロレロレロレロ
ムジナ「ふぁっ」
アナリスト「まさか!舐め回すことで穴周りの障壁を柔らかくしているのか!しかしもう時間がない!全員でこじ開けましょう!」
全員「うぉおおおおお!!!」ガガガ
ムジナ「うああああああぁあああ!」
ムジナから凄まじい光が放たれました。
それはあまりに眩しく、世界は白に包まれてしまいました。
・・・
・・・
・・・
ムジナ「あれ?ここは?」
気が付くとムジナ一行は、旅の始まりである「けつ穴」の前で倒れていました。
ケツツキ「懐かしい場所だな。私達はここで出会った」
ケツネ「ここがムジナのほら穴・・・だったのか?」
アナルほじり虫「ほら穴、というには中は広大過ぎるでやんすね」
アナクイ「それに、周りには木の実や花が咲き乱れているわ」
アナリスト「こんなことがあり得るわけがない、もしあり得るとするならば、これはまさに・・・」
ムジナ「びっくりするほどユートピア!!」
「けつ穴」は生きとし生けるもののユートピアとなり、未来永劫、みんなが仲良く楽しく暮らしていきました。
めでたしめでたし。
ー完ー
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