【SS】女神「ただし、性行為を行うと死にます」6
セツナ「ぐっ!!結構キツイなこれ」
女王「・・・セツナ。本当に、ごめんなさい」
アイリ「何!?何が起こったの!?」
女王「セツナは、あなたが奪おうとした私の呪いを・・・」
アイリ「!? なんでそんなことしたんですか!!」
セツナ「っるせぇなぁ。お前は助かったんだから、俺に感謝くらいしてもいいんじゃねえか?」
アイリ「っ!」
女王「セツナは、私の呪いを解くためにいろいろと力を尽くしてくれました」
セツナ「ああ。だが、どこの変態がこの呪いをかけたのか知らないが、かなり強力な呪いでな。俺の力じゃ肩代わりするので精一杯だってことが分かった」
女王「しかし、それは私が許しませんでしたし、セツナは私が死ぬことも許してはくれませんでした。このことは私達二人だけしか知らず、エルフたちはセツナが私を治してくれると信じていました。だから、セツナのあのような横暴な態度にも応えてくれていたのです」
セツナ「思えば、やけになって、ただ八つ当たりしてただけだったのかもな」
女王「セツナ・・・」
セツナ「お前がいない人生に意味なんてないんだよ。そして、たとえアイリが身代わりになってお前が生きていたとしても」
女王「きっと私はあなたと一緒にいられなかったでしょう。アイリを死へと追いやった、あなたを許すことができなくて」
セツナ「ああ、分かってる。だからこうして、悪者の俺だけが死んでめでたしめでたしってわけだろ?」
アイリ「こんな悲しいことって・・」
セツナ「しみったれてんなあ。ぐっ!!悪い、ちょっともう無理そうだわ」
女王「セツナ!!」
セツナ「アイリ。お前のことはよくユキノから聞いてたぜ」
アイリ「!」
セツナ「ユキノのことを頼んだぞ・・・」
アイリ「セツナさん・・・ありがとう、ございました」
セツナ「・・・」
ーーーーーーーーーーーー
女王「最後の最後まで、心の優しい子でした」
アイリ「せっかく久しぶりに会えたのに、こんなことになってごめんなさい」
女王「いいえ、これは私とセツナの問題だったのです。あなたが気にすることはないのですよ」
アイリ「でも!」
女王「最後にセツナから言われたことを思い出して。そして、セツナを救えなかった分、多くの人を救ってあげて下さい」
アイリ「分かった。この森でユキノと一緒に過ごそうかとも思ったけど、せっかく助けてもらった命だもんね。私が出来る限りの、なるべく多くの困っている人々を救ってきます」
女王「はい、任せましたよ。最後にアイリ、こっちへおいでなさい」
アイリ「うん・・・」
ぎゅっ
女王「辛いことがあったら、いつでも戻ってきていいんですからね」
アイリ「ふぇぇっ・・ぐすっ」
男「アイリさん・・・」
イトウ「・・・」
エルフ「ほらほら!見世物じゃないんだから、傷が治ったらさっさと森から出ていく!」
男「あ、ああ。ごめんなさい。でもちょっと女王様に聞きたいことがあって」
エルフ「女王様は今忙し」
女王「男さん、ですね。私の知っていることならなんでもお話致します」
男「あ、すみません。せっかくの親子水入らずだったところを」
女王「いえいえ。アイリも疲れて眠ってしまいましたし、お話を聞かせてください」
男「はい。実は俺、別の世界からこの世界に来ていて、元の世界に戻る方法を探しているんです。この世界で善行を続けていれば、それが帰ることに繋がるとは聞いていたのですが・・・」
女王「善行、ですか。しかしその《ほぼ不死身の加護》と善行の関係性がよく分かりませんね。善行を行ったからと言って強化・解除されるような加護でもなさそうですし」
男「エルフの女王様でも分からないほどの状況か・・・俺、本当に元の世界に帰れるのかな」
エルフ「こらぁー!!無礼だぞー!!」
男「あ、いや!そんなつもりで言ったのではなくて!」
女王「いいのですよ。しかし、自分で言うのも何ですが、この付近で私より契約や魔法について詳しい方は・・・いえ、一人あてがありますね」
男「ほんとですか!それは、誰なんでしょうか!」
女王「北の城に住んでいる魔女です。名はコトネといいます」
男「!!」
鎧騎士「!!」
男「えっ!なんで騎士さんも驚いているんですか」
鎧騎士「俺は、姫の名を聞かされていなかった・・・」
男「えぇ!?」
鎧騎士「訳があってのことだろう。しかし、これでますます姫のもとへ向かわなければならなくなったな」
男「はい。きっと以前俺の記憶に現れたコトネと、姫であるコトネさんは同一人物だと思います」
鎧騎士「よし、アイリ殿が目を覚まし次第、早速北の城へと向かうぞ」
男「はい!」
ーーーーーーーーー
アイリ「じゃあね、ユキノ!また遊びに戻ってくるから!」
女王「はい。いつでも戻っておいでなさい。そして、男さんたちもどうかご無事で」
男「いろいろとありがとうございました!」
イトウ「傷も治してもらったようだし、世話になったな女王様。礼を言っておく」
女王「いえ。セツナが、ご迷惑をおかけしました」
イトウ「いいっていいって!ちょっとムカつくけど、あいつはあいつなりに必死だったんだよな」
鎧騎士「・・・」
男「さて、じゃあとりあえず、依頼されてたおじいさんに報告しに行こうか」
女王「あっ!待ってください!その方にも随分とご迷惑をおかけしてしまいましたよね。どうか、こちらのものをそのお方へ」
男「ん?なんですかこれ?」
女王「エルフのマナを注いだ鉱石と、私の鱗粉、あとはエルフ特製の特効薬です」
男「なんか、すごそうですね」
イトウ「太っ腹だな女王様は。これだけありゃ、今まで盗られた分を差し引いてもお釣りが出るなんてもんじゃないぜ?」
女王「私にはこれくらいしかできませんが、申し訳ないことをしてしまったと、その方へお伝えくださいませ」
男「分かりました。では、いってきます!」
女王「男さん」
男「はい」
女王「アイリのことを、よろしくお願いします」
男「任せてください!!」
イトウ「お前はどっちかというと護られる側だろ」
男「ちょっと!カッコくらい付けさせて下さいよ!」
鎧騎士「そういう貴様こそ、今回は何の役にも立たなかったがな」
イトウ「うるせぇ!!だいたいお前のその鎧、卑怯すぎるなんだよ!!」
アイリ「くすくす」
~ノ村~
男「おじいさーん!戻りましたー!」
じい「おぉお!無事で何よりじゃ。それで、エルフはどうなったんじゃ?」
男「あー、一応倒したことにはなるのですが」
じい「首は持ってないのか?」
男「あいえ、その」
アイリ「おじいさん。悪いエルフを倒した証拠はありませんが、エルフの女王様からおじいさんに渡してほしいと言われたものがあります」
男「あ、そうだった。これです」
じい「これは・・・?」
男「エルフの鉱石と鱗粉、そして特効薬みたいです」
じい「な、なんと」
イトウ「よかったなじいさん。これで店を立て直して、老後の貯金も出来るってもんだ」
じい「ありがとう、ありがとう・・・本当になんと礼を言っていいか」
男「いいですよ。俺たちも情報の収穫があったわけですし」
じい「そうじゃ!お前さんたちに報酬を」
男「報酬はエルフの女王から教えていただいた情報で十分ですよ」
じい「しかし・・・そうじゃ、まだ旅をつづけるんじゃろう?これはおぬしが持っていくがよい」
イトウ「特効薬、か。まぁ男と騎士には必要なさそうだが、俺とアイリにはありがたい話だ」
男「うーん。でも」
鎧騎士「もらっておけ、男。イトウはともかく、アイリ殿の命が2つに増えると考えれば・・」
男「そんなすごい薬なんですかこれ!」
イトウ「おい、騎士。あとで覚えとけよ」
じい「にぎやかなパーティ―じゃのう」
アイリ「おじいさん。こんなことがあった後に言うのも失礼なのですが、エルフの中にはいいエルフもいます」
じい「・・・」
アイリ「私は、あの森でエルフに育てられました」
じい「!」
アイリ「なので、どうか、今回のことは」
じい「分かっておる。わしもすべてのエルフが悪いとは思っておらん。それに、今回の件もきっと訳があってのことだったのじゃろう」
アイリ「すべてが落ち着いたら、エルフの女王と共にまたお伺いさせていただきます」
じい「そのときは茶でも飲みながら珍しい話でも聞かせもらおうかの」
アイリ「あ、ありがとうございます!!」
男「よかったですね、アイリさん」
アイリ「はい!!では、男さん」
男「いや、いい」
アイリ「まだ何も言ってないのですが」
男「もう分かってるから」
アイリ「おっぱいを」
男「だから!!」
アイリ「ああ!みなさんの前では恥ずかしいのですね!では、今宵また・・・」
男「いやぁああああああああ!!!」
続く。
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